サルトリアイプシロンでスーツを作ってもらおうと思ったキッカケは、たまたま立ち寄った日本橋三越のエレベーターの前でサルトリアイプシロン店主の船橋さんをエレベーターの前で見かけた時でした。
(すごくかっこいいスーツを着たおじさんがいるな。)と思って話しかけたら、話しているうちにスーツに対する知識や愛情が溢れているのを感じて、トランクショーの会場に足を運びました。そこで更に服の話になり、ぜひ船橋さんに仕立ててもらったスーツが着てみたい!と思ったのです。
後日、お店に電話して、千代田区にあるサルトリアイプシロンのお店に足を運びました。
生地は、バンチ見本が豊富で悩みましたが、船橋さんやスタッフの皆様の丁寧な説明やアドバイスをいただき、ハリソンズオブエディンバラのオイスターに決めました。しっかりとした打ち込みの贅沢なイギリスらしい生地です。
私はいくつかのフルハンドメイドテーラーでビスポークスーツをオーダーしましたが、サルトリアイプシロンの特徴は何と言っても、最先端の研究を取り入れた採寸と完璧なフィッティングだと思います。
採寸では、最先端の企業と共同研究中の3次元高精度スキャナーを使用した採寸を行いました。
このスキャナーを使うと、私の体との誤差が0.1mm単位の3次元人体モデルを、PCの画面の中に再現できます。
その3次元データをベースに、この道40年以上の豊富な経験を持つ船橋さんによるカッティングが行われます。
船橋さんは、テーラリングの本場であるローマ、ミラノで職人の技術を受け継ぎ、なおかつ現代の最先端の科学、機械技術を取り入れたハイブリッドマエストロです。
私の体は前肩、イカリ肩、肩甲骨も大きく張り出しており、私の体に合うスーツを作っていただく際には、いつもフィティングで苦労されるのですが、船橋さんと私自身が納得いくまで、しっかりと時間をかけ、仮縫いを完璧に仕上げていただいて、中縫い、完成まで運びました。
サルトリアイプシロンのスタッフの皆様は、とても物腰柔らかで知識も豊富、いつもフィッティングやファッションやそれ以外のお話をするのが楽しくて、仮縫いを楽しみにしながら、お店に通いました。コートなどのサンプルも見せてもらいました。
ジャケットが体にぴったりくっついているので、前裾はボタンを外してもほとんど開かず、下衿の立体的な形状や前見頃がいつも綺麗に落ちます。同じくサイドベントや背中の生地も、まるでノーベントのように開かず綺麗に落ちます。
例えジャケットを着たまま走ったりしても寸分違わぬフィティングによってジャケットの位置が首周りから少しもズレることはありません。
それでいて着心地は非常に軽く、ジャケットの中にはゆとりがあり、オイスターは400gの生地ですが、体感では250gほどの生地と同じような重さに感じます。おそらく夏用の生地でスーツをつくってもらったら、もはやスーツを着ていないような軽さになるのではないでしょうか。
アームホールはやや小さめか普通くらいです。
スラックスも、私は趣味でサッカーをしておりお尻やワタリが非常に大きいのですが、ウエストや腰回りや太ももにかけて、緩すぎずキツすぎず、姿勢が邪魔されず、ちょうど良く、例え座っても仙骨の周辺の生地が浮いたり、余ったりすることもなく綺麗にフィットします。
非常にクラシックで足が長く見えるようなパンツです。
当たり前ですが、ボタンホールやポケットのクチも美しく非常に柔らかいです。
総じて評価は、言うまでもなく大変満足しています。
フルハンドのビスポークテーラーは値段も40万円程しますし、なかなか取っ付きにくいですが、サルトリアイプシロンのスタッフの皆様は本当に気さくで話しやすくて、スーツや生地について相談に乗ってくれたり、教えてくれますので、初心者の方にもぜひおすすめです。
スーツは一生ものですし、ここでしっかりしたスーツを仕立ててもらえれば、50年は着れると思うので、長い目で見たらとても良い買い物だと思います。
気になった方はぜひお店にお電話などで相談されることをおすすめします。
完成したスーツは、ラペルは少し大きめ、ゴージ、ショルダーライン、上衿、ノボリ、袖付けと、ローマやミラノで長年経験を積まれた船橋さんの知識や技術が豊富に詰まっており、アイロンワークも素晴らしく、どこから見ても自然で大変美しいです。
また、シャツとの間には全く隙間がなく、肩や首やうなじ、背中にかけて、ばっちり生地が吸い付いています。
芯は、しっかり入っていますが、バス芯よりは柔らかめ、部分的に芯の厚さもなめらかに変わっておりメリハリがあります。